土地の境界【2023-03-04更新】 | 八千代市・佐倉市の不動産のことなら川島不動産
2015年9月のニュース
土地の境界vol.91
売買で重要な業務の一つに境界明示があります。一般的な境界標は左記のようなものになります。売買の取引においては、物件の引き渡しまでに境界を明示することが売主の義務となっております。新しい分譲地であればほとんど確認できますが、古い分譲地ですと見当たらない場合も多く、塀の工事等でなくなってしまう場合もあります。また、長い年月の中で、土や砂利をかぶり、掘らないと確認できない場合もあります。売買の担当者としては、少しでも取引コストが安いほうがいいと思っておりますので、できる限り自分で掘ります。やはり経験を重ねていくとコツが分かってきて、自分で発見できる場合も多くなってきます。しかしながら、どうしても発見できない場合には、土地家屋調査士に依頼することになります。
境界明示は、簡単そうで非常にデリケートな部分があります。境界標を勝手には設置出来ません。少なくとも隣地の方に同意してもらわなければなりません。境界標がない場合の一つの目安としては、お互いの塀になると思いますが、塀の中心なのか、内側なのか、外側なのかは当事者に聞くしかありません。また、法務局にいくと地積測量図がある場合があります。ない場合もあるのですが、その寸法も一つの目安になります。ただし、昔の測量図は、いい加減なものも多く面積が大きく違う場合もあるので、注意しなければなりません。いずれにしても色々な証拠から境界の位置を確認してくのですが、最終的には、そのような証拠をもとにお互いに納得してもらうしかありません。
それができなければ、筆界特定制度か裁判となります。筆界特定制度は2006年1月に施行された法律で、登記官が筆界を決められるという制度です。当初は画期的と思われたのですが、実際には法的拘束力はなく、それに納得できなければ、結局は裁判になってしまいます。また、仮に越境して他人の敷地を使用していた場合においても、善意であれば10年、悪意であっても20年で時効取得を主張できますので、境界の争いが別の争いに発展してしまう場合もあります。
以上のようなことからも、仲介業者として境界明示の説明をしっかりと行うことが重要であります。ただし境界標を合意のもと設置したとしても境界確定というわけではありません。確定をするにはお互いが筆界確認書に署名、捺印(原則、実印)をしなければなりません。買主が、土地を分筆する場合には、必須となりますが、費用の問題もあるので通常の取引ですとあまり行いません。しかしながら、最低限の目安である境界は示さねばなりません。
塩田了丈