金融引き締め【2023-03-13更新】 | 八千代市・佐倉市の不動産のことなら川島不動産
金融引き締めvol.117
左記表は、大手銀行と地銀の貸家業向け、融資残高を表したものになりますが、2011年から大手銀行の融資残高は減少しているのに対し、地銀は逆に増加の一途を辿っています。
相続対策やマイナス金利の影響で、不動産市場に多大なマネーが流れておりましたが、その流れが少しずつ変わろうとしております。ニュース等で、貸家住宅の供給過剰やバブル期を超える貸出残高が問題となっている事は知っていましたが、先月、初めてその影響が、弊社の取引において起こりました。
今年の初めにアパート用地として土地を購入してもらったお客様が、もう一つ土地を購入しようとしました。ローンの本審査は、契約後ではありますが、事前にある程度銀行には相談しております。銀行の担当者は大丈夫との事でしたが、最終的にローンの承認不可が出てしまいました。ローンの承認を得られなかった場合には、白紙解約の条項をつけておりましたので、ペナルティーは発生しませんでしたが、心地の良い話ではありません。誰しも取引がだめになることを前提に契約はしませんので、皆が肩を落とした感じです。また、担当者曰く、以前なら間違いなく通ったとの事です。
また、同じくアパート用地として不動産業者に仲介した土地がありました。その業者は、アパートを建築して、個人に転売する予定だったのですが、中々売れないと聞きました。よく話を聞くと、3人お客さんはついたのだけど、全員ローンが否決されたとの事です。明らかに空気が変わってしまった、どうしようかなと嘆いておりました。以前であれば、年収が500万円位で、7000万円前後は、平気で融資されていたものが、全くだめになってしまったというのです。他の業者さんに聞いても、この傾向は顕著なようなので、アパートローンへの引き締めは間違いなく始まっております。
今後、アパート用地も含めまして収益物件の取引が縮小していくのは間違いありません。そして、誰かが、現状の市況を悲観し、投げ売りを始めると一挙に市場が崩れる可能性も否めません。近年の株式市場で言えば、リーマンショックや東日本大震災の時は、恐ろしい下げ相場を記録しました。また、不動産売買は、リートは別としても株式市場ほどの流動性がないのも懸念事項です。もちろん、安定した賃料収入を得ている物件は何の問題もないでしょうが、売却益を見込んで所有している場合には、黄色信号だと思います。今後の動きは注視する必要があります。
塩田了丈