心理的瑕疵2【2023-03-16更新】 | 八千代市・佐倉市の不動産のことなら川島不動産
心理的瑕疵2vol.165
2021年6月のニュースで、「宅地建物取引業者による人の死に関する心理的瑕疵の取扱いに関するガイドライン」を紹介させていただきましたが、パブリックコメント、第7回検討会を経て、先月、正式にガイドラインが公表されました。骨子としては下記になります。
【原則】
取引の相手方等の判断に重要な影響を及ぼすと考えられる場合には、これを告げなければならない。
【告げなくてもよい場合】
①、対象不動産で発生した自然死・日常生活の中での不慮の死(転倒等)「期間の定めなし」。
②、①以外の死、特殊清掃等が行われた①の死から概ね3年間が経過した後
③、隣接住戸や通常使用しない共用部分で発生した死「期間の定めなし」。
そうは言っても、上記①~③に該当すれば、絶対に告げなくてよいという事にはなりません。ガイドライン中では、事件性、周知性、社会に与えた影響が特に高い事案に関しては、告げる必要がありとなっております。そして、①~③以外の場合には告げる必要があるのかと思えば、あくまで取引の相手方等の判断に重要な影響を及ぼすと考えられる場合には、告げる必要ありとなっております。少し分かりにくいですが、やはり【原則】に基づいて判断する必要があります。
【告げる場合の留意事項】
亡くなった方やその遺族等の名誉及び生活の平穏に十分配慮し、これらを不当に侵害することのないようにする必要があることから、氏名、年齢、住所、家族構成や具体的な死の態様、発見状況等を告げる必要はなしとなっております。告げる内容は、発生時期(発覚時期)、場所、死因及び特殊清掃が行われた場合はその旨を告げるとなっております。その他、人の死が生じた建物が取り壊された場合、搬送先の病院で死亡した場合、転落による死亡等は今後の事例の蓄積を踏まえて、適時にガイドラインへの更新を検討するとなっております。
人の死とはとても悲しいものですし、自分自身の死については、誰もが恐れを感じるのではないでしょうか。しかしながら、人はいつか亡くなるということは厳然たる事実でもあります。日本における2020年の年間死者数を見ると、約138万人となっております。コロナの影響で増えたのかというと、前年の2019年よりは僅かではありますが、減少しております。ただ、いずれにしても、現実として毎年130万人以上の方が亡くなるわけです。そして今後も高齢化社会という事もあり、その人数は増加していくことになります。そうなると、ご自宅で亡くなる方も必然的に増えていくと考えられます。私自身も弊社管理物件等で様々な死に携わった経験があります。気持ちは沈みますが、ある意味で普遍的なものである死によって、不動産の価値が大きく毀損することは、やはり、健全ではないような気がします。しかしながら、死に対する考え方は、千差万別でもありますので、上記【原則】に則って誠実に運用していきたいと考えております。
塩田了丈