民主主義国家【2023-03-16更新】 | 八千代市・佐倉市の不動産のことなら川島不動産
民主主義国家vol.171
去る7月8日に、とても痛ましい事件が起きてしまいました。安倍元首相がお亡くなりになりました。思想や考え方、価値観の違いは誰にでもありますし、時には人を憎むこともありますが、どんな形であろうとも人を殺してはいけません。言わずもがなであります。なぜ人を殺してはいけないのかという議論は多々あります。最近たまたま「バカの壁」で一世を風靡した養老孟子氏の「死の壁」という本を見たのですが、その中の言葉を借りれば、2度と元に戻せないからという事です。機械であればいくらでも同じものを作ることができますが、これだけテクノロジーが発展し、宇宙旅行までできるようになったのに、人間だけでなく、生き物は、一度亡くなってしまえば、元に戻すことは出来ません。それだけ、生き物は自然の中において尊い存在という話です。
私は安倍元首相と当然知り合いでありません。ただ、7年、8年前になるでしょうか、衆議院選挙で、勝田台駅に応援演説に来られた時があり、演説後、握手をしてもらったことが今でも自慢話であります。「死の壁」の話を借りれば、本当に悲しい死は家族や友人の死です。自分が死んだら自分では何も分かりませんし、仮に悲しんでくれるとしたら、家族や友人です。それ以外の死は悲しいけれども、実際そんなに気にしません。ウクライナでは今でも戦争が続いており、多くの人が亡くなっております。安倍元首相は私にとっても、多くの人にとっても家族や友人ではない、ということになると思いますが、何とも言えない喪失感を感じているのは、メディアのコメント等を見ていても、私だけではないなと思わざるを得ません。きっと、多くの人が家族や友人のような、ものすごく近い存在か、もしくは、とてつもなく大きな存在だと思ったからではないでしょうか。本当にご冥福をお祈り申し上げるともに、今一度、要人の警備体制は見直さなければなりません。
容疑者の男の動機は表面上の報道はされておりますが、これから解明が待たれるところだと思います。ただ、解明されたところで、この事件を無かったことには絶対できない事がまた、悲しくもあります。日本は民主主義国家であります。民主主義国家で良かったと思いますが反面、物事を決めるのは大変で、時間がかかります。社会主義国家であれば、独裁者の鶴の一声で物事を決められます。今の日本社会を良いと思うか、悪いと思うかは人それぞれでしょうが、少なくとも民主主義国家ですので、選挙があります(本日は7月10日で参議院選挙日です)。首相は国民の直接選挙では選ばれないとは言え、国政選挙で信任されなければ、その座を追われます。また、○○党を支持していても、その政策には反対だという事もあります。そしてあまりに違う方向にいったら、選挙で選び直せるのが民主主義国家であります。今回の事件は戦後において、私達の先人が作り上げてきた民主主義に対するまさしく暴挙といえます。
不動産とは全く関係のない話になってしまいましたが、今回のようなことが許されれば、私達の社会はいとも簡単に崩壊してしまうような気がします。ひょっとしたら、何となくそれが分かってしまった、不気味な恐ろしさが、何とも言えない喪失感につながっているかもしれません。民主主義を守るうえでも、今後大きな変化が必要になってくるのだと思います。
塩田了丈