蓋を開けてみると【2025-02-11更新】 | 八千代市・佐倉市の不動産のことなら川島不動産
蓋を開けてみるとvol.202
フジテレビの問題が世間では大きな話題になっております。CM差し止めが相次ぎ、当初はこのままでは経営が相当に傾くのではとの話も出ておりました。この出来事を機に、フジテレビという会社を調べた方も多いのではないでしょうか。また、フジテレビと言えば2005年に起きたライブドアによる買収劇が思い出させられます。実際はニッポン放送に対する買収劇でしたが、当時フジテレビはニッポン放送の子会社だったため、実質的にはフジテレビが買収されてしまうかもということで、相当に世間を賑わせました。資本関係の歪さに目を付けた巧妙な戦略とも言えます。
当時、連日のようにメディアで取り上げられておりましたので、よく記憶に残っております。この事件から、その他の資本関係が歪な企業も買収防衛策を講じることが多くなった象徴的な出来事でした。主導者であるホリエモンこと、堀江貴文氏は別件でしたが、当時の村上ファンドの村上世彰氏はこの件、インサイダー取引で逮捕されました。もう20年も経つのだなと時の速さを感じざるを得ませんが、私が株式投資に興味もったきっかけでもあります。
そのフジテレビでありますが、親会社があり、フジ・メディア・ホールディングスの子会社となります。この親会社の下には、大きくは3つの事業、1、メディア・コンテンツ事業、2、都市開発・観光事業、3、その他事業に分かれていて、子会社の数は30社以上になります。フジテレビはその内の一社に過ぎません。そうは言っても売上高の規模は大きいです。2024年の決算短信によれば、全体の売上高は5660億円(利益335億円)になりますが、そのうちメディア・コンテンツ事業の売上高が4330億円(利益157億円)、その内のフジテレビの売上高は、2380億円(利益54億円)となっております。全体の利益が335億円であるのに対し、フジテレビの貢献率は16%足らずとなっております。それでは、何で儲けているかというと上記2の都市開発・観光事業という事になります。言い換えれば不動産事業と言う事になると思います。この事業の売上高は1080億円程度ですが、利益を見ると195億円となっております。売上高に対する利益の割合は、約18%となっているのに対し、フジテレビの利益率は僅か2.2%しかありません。不動産でものすごく儲けているという事になります。また、財務の健全性を表す自己資本比率は約60%となっております。
既に言うまでもありませんが、テレビの広告収入は新聞や雑誌ほどではないにしても、今後益々厳しくなっていくことが予想されます。また、2019年にはネットの広告費が初めてテレビを超えました。本来は経営資源を本業に集中させることが大切であると思いますが、そうもいかなくなっているのでしょう。この内容だけ見ると不動産事業が簡単に儲けられるように見えて、規模は違えど、同業者として、少し悔しい気持ちにもなります。現実として赤字の不動産業者もたくさんあります。もちろん今後フジテレビの広告収入が全く戻らなければ、テレビ事業の運営にはそれなりの固定費がかかる事が想像できるので、大きな赤字に陥る可能性もありますが、短期的には十分に乗り越えられる強さがあります。一点張りではなく分散の大切さを思い知らされます。 塩田了丈