【説明責任と信頼関係】【2025-10-12更新】 | 八千代市・佐倉市の不動産のことなら川島不動産
【説明責任と信頼関係】vol.210
自民党の総裁に高市氏が選ばれ、高市トレードと言われる株式相場の急上昇、円安が起こりました。それも束の間、本日は10月11日ですが、昨日、再びアメリカと中国の貿易摩擦が生じ、週明けの相場は、上昇分が全て吹き飛んでしまうような惨憺たる結果になりそうです。また、公明党が連立政権からの離脱を決め、政治的にも混乱の様相で、しばらくは先行きが不透明な状況が続くのではないかと思っております。
そして、不透明さが不動産取引に生じることは多くあります。約1年前に所有者不明土地管理制度に関する記事を書きました。不動産の売買では、確定測量が出来ることを前提とした取引が多いのですが、普通の測量と違うのは、全ての隣接地の方に境界を認めてもらって、印鑑をもらわないとなりません。よって、隣接所有者が不明の場合は成立しようがありません。成立しない場合、契約は原則、白紙解約になってしまいます。そのようなケースにおいても、不動産取引を円滑に進めるための目的もあって、約2年前に所有者不明土地管理制度が施行されました。この制度を使い、今年1年がかりで取引が成立しました。新しい制度ですので、前例がなく1年という年月がかかってしまいましたが、今後は半年くらいを目途にできるのではないかと思います。
弁護士が申し立てを行うことになりますので、当然ですが弁護士費用等が発生します。中には費用負担をしたくない人、時間をかけたくない人もいるかとは思います。しかしながら、あくまで一般論ですが、境界が決まらない状態での取引は、その費用以上の価格減少は免れない可能性が高いと考えられます。建売業者を含め不動産業者が購入する場合は、境界確定が出来ないと、そもそも検討出来ませんと言われます。もちろん何も気にせず買う方もいますし、リスクを取って購入する業者もいますが、いずれにしても、購入検討者が少なくなれば、そうでない場合に比べ、価格は下がらざるを得ないのではないでしょうか。
そして、当たり前の事ではありますが、仕事における説明責任はとても大切であると考えております。今回のケースで言えば、せっかく費用をかけて境界確定が出来たとしても、いつ境界確定が終わるか不確かだったため、価格変動リスクは免れない状況でした。また、結果として1年という年月を要しましたが、1年前は買うと言っていても、時間の経過とともに相場の問題ではなく、購入意欲がなくなるという事もあり得ます。そこは私共の力ではどうすることも出来ない不確実性になりますが、売主様には何度も説明をさせていただいた上での取り組みとなりました。
結果は、1年前と同じ条件で、同じ買主様が購入することになりました。結果オーライとも言えますが、売主様との信頼関係は構築できていたので、おそらく価格が下がっても、元々の買主様が買えなくなったとしても、お叱りは受けなかったのではないかと思っております。何事においてもそうですが、スキルがあっても信頼関係が築けなければ良いお取引にはなりません。今後もしっかりと説明責任を果たしていきたいと思っております。 塩田了丈






