売れなくなる?【2023-03-13更新】 | 八千代市・佐倉市の不動産のことなら川島不動産
売れなくなる?vol.104
先々月、佐倉市臼井台で中古物件の取引がありました。売買価格は、80万円です。臼井駅から徒歩15分で、土地は約30坪、建物は昭和57年築の木造住宅でした。売り主様は相続で取得したという事で、相続人は7名いたそうですが、誰もほしがらず、仕方なく相続したとの事でした。購入した金額は、2,000万円以上だったというので驚きましたが、平成5年の購入ですので有り得る話です。
もちろん減額要因はありました。前面の道路は現況で3mほどしかなく、車庫はありましたが、軽自動車が入るのがやっとで、何度も切り返さなくてはなりませんでした。また、その前面道路が建築基準法上の道路ではありませんでした。建築基準法上の道路でないということは、再建築が原則、出来ないという事になります。実際には、再建築が出来ることが分かったのですが、その他にも他人の敷地が入り口部分に入ったりしていて、問題のある物件ではありました。
今回の取引は、中古物件の取引ではありますが、通常30年以上経過している木造建物は、残念ながら無価値と評価されてしまいます。無価値だけならいいのですが、建物の取り壊しという負債を生みます。一般的な木造住宅の取り壊し費用は、150万円~200万円位が相場ですので、取り壊しを前提としますと、まさしく負の遺産ということになります。80万円という金額を売主様に申し上げるのは、私自身としても非常に心苦しかったわけですが、売れないことも想定していたようで、買主をみつけてくれてありがとう、と感謝して頂きました。
空き家の増加問題も上記理由によるところが一部あります。実際に土地の価格より、取り壊し費用が高ければ、何のために取り壊すのかという話になりますし、取り壊せば土地の固定資産税が上がってしまい、費用だけが嵩んでしまいます。しかしながら、放置をしていても問題の先送りになります。まだほとんど機能はしておりませんが、《空家等対策の推進に関する特別措置法》も施行されております。運用がきちんとされれば、土地の固定資産税が6分の1になるという、減額措置がなくなったり、建物の強制撤去が行なわれる可能性もあります。もちろん撤去費用は所有者に請求されます。
名義がまだ変わっていない場合は、相続放棄をすればいいという話もありますが、そんなに簡単ではありません。プラスの財産も全て放棄しなければなりませんし、手続きも非常に複雑であります。諸々の手続きを行い最終的には、国に帰属するということになりますが、それまでの管理責任は免れませんし、費用もかかります。
何度か書いておりますが、収益物件の売買は非常に活況であります。しかしながら、その他の取引は、活況とは言えません。現実問題として、人口は今後減少していきます。また、20年後には3件に1件が空き家になると言われています。需要は、減退し、供給は過多になる可能性が高いですので、不動産が売れなくなる時代がいずれ訪れると思います。よって、収益を生まない遊休不動産は、早めに処分したほうが良いのでは、と考えております。
塩田了丈