不動産の流通【2024-11-11更新】 | 八千代市・佐倉市の不動産のことなら川島不動産
不動産の流通vol.199
弊社の決算は9月なのですが、10月に反省会を行い、今期(56期)はどのような取り組みをするか、皆で考えているところであります。その中で検討しているツールがあり、先日担当者から提案を受けていました。担当者の社名を改めてみるとSREホールディングスとなっており、どこかで聞いたことがあるような名前でした。そんな話をしたところ担当者から、旧社名はソニー不動産だと聞きました。ソニー不動産といえば、以前、ニュースで書いた記憶があり、遡って調べてみると2016年でした。
タイトルはヤフーVS不動産業界ということになっておりました。当時、ソニー不動産がヤフーと提携し、『おうちダイレクト』というサービスを開始、不動産業界の流通の仕組みに一石を投じたものとなりました。簡単にこのサービスを説明すると、個人の売主様が仲介業者を通さず、自分で不動産価格を決めて売り出せるというサービスです。ただし、買い手側の仲介には必ずソニー不動産が入るというもので、不動産のポータルサイトも運営しているヤフーとの提携に不動産業界は猛反発しました。その結果、不動産業界がヤフーへの物件掲載を取りやめる措置を行う等、当時はものすごい火花を散らしておりました。
私もすっかり忘れてしまっていた出来事ですが、忘れたという事は、サービスが定着しなかったという事でもあります。調べてみると2022年6月にサービスが終了したことになっておりました。今回の担当者に聞いても不動産業界からの反発がものすごく、うまくいかなかったと言っておりました。また、ソニー不動産としての不動産取引もすっかり下火となり、今ではAI関連の事業が主流になっているとのことです。当時は、それこそ既存の仕組みをぶっ壊すようなサービスでした。また、売主様には仲介手数料が無料になるメリットがあり、不動産大手より有名であるかもしれないヤフーとソニーという会社が行った事業で、成功しなかったという事は、業界団体の圧力だけではない、不動産流通の特殊性があるのではないかと思わざるを得ません。
不動産取引は、それを業としていない限りは、人生で数回の取引であり、金額もアマゾンや楽天でモノを買うのとは全く違います。個人間取引のメルカリも然りです。不動産業界の猛反発も間違いなくあったのでしょうが、大事なイベントであるからこそ、ネットではなく、リアルに相談したいという気持ちが強いのかもしれません。また、最近ではドラマでも話題となっておりますが、地面師の問題もありますし、法律や税金のことも考えなくてはいけません。もちろん売れる金額は高いほうが良いに決まっていますが、分からないことや不安があるからこそ信用できるリアルな会社又は営業担当に任せたいのではないでしょうか。AIの台頭で人間の行動は丸裸にされてきており、その結果、仲介役の役割がどんどん減っていく業種もあるかと思います。いつしか不動産業界にも流通イノベーションが起きるとは思いますが、少なくとも今のところは必要とされていることを、とても嬉しく思っております。今後ともお客様のご相談をお待ちしております。
塩田了丈